これは、スターメディア通信29号を補足するために、書いています。 ■占星術は魔術(呪術)ではありません。 「占星術は魔術である」と言うのは冗談か嘘ですが、本当にそう思っている人はいるかもしれません。特別な日時を選定すればどんな場合でも必ず全てが願うように動くと勘違いしているのも、根本には類似した誤解があると思います。 魔術を行う際に、魔術師が占星術を利用することがあります。例えば、ある魔術は、特有の条件を満たした場所で行う必要があり、その魔術を行う時間を占星術を使って決めます。 占星術が魔術ではないことは、新規に事を始める際の日取りの選定からも理解できます。 例えば、結婚式の日時を占星術で決めることがあります。(これは結婚の是非の鑑定とは別の話です)。日時を占星術で決めますが、結婚式自体は占星術ではないことは容易に理解できると思います。 ■占星術は錬金術ではありません。 錬金術とは、狭義では化学的手段を使って、卑金属(酸化しやすい金属)を金(貴金属)に変えようとする技術のことです。 どんな化学実験を繰り返しても、卑金属は金にならないことは、今ではよく知られていることですが、昔は真剣に考えられていました。結局のところ錬金術師は、錬金術を追い求めながら化学実験を繰り返し、占星術や様々な専門知識を導入していたに過ぎない、ということができます。 占星術の修得には、錬金術の知識や錬金術思想の理解は必要ないと思います。錬金術思想が占星術の理解や鑑定の能力を高めるのに必要かどうかは、個人的な問題だと思います。 しかし、錬金術の歴史の中で、錬金術と占星術との接点、錬金術の中で発達した化学と占星術との接点を知ることは、占星術の分野での教養的な知識の幅を多少なりとも広げる助けになります。 さて、占星術で様々な鑑定を依頼される際、質問事項に関する専門知識が必要になることがあります。例えば、移転の鑑定なら、移転に関するある程度の知識が必要です。精製した化合物の鑑定なら、化学の知識が少し必要になります。 化学反応を星の動きから読む鑑定方法は、錬金術に由来するのではないかということをスターメディア通信29号の【錬金術】の項で書きました。次の内容です。 (2) 作成したオイルや溶液が、当初目的としていたものと違う性質を帯びている場合に、その原因を星の動きから探り出す。ここですばらしいと思ったのは、錬金術ではなく、化学と占星術の関係です。 実際に行った鑑定で共通してみられたのは、酸化反応、還元反応が、化学式の流れと同じように、正確な順番で星の動きにも表れていたことです。例えば、対象となる物質について、天体同士のアスペクトの完成が3つ発生していたとすると、アスペクトの完成と同じ順番で、星の示す内容と同等の化学式が3行できました。それは2つの異なる言語で、同じことを説明している状態でした。 酸化反応とは、古くは、物質が酸素と化合することでした。還元はその逆で、酸化したものから酸素が離れて元の状態に戻ることでした。19世紀以降、原子の研究が進み電子が発見されると、酸化反応と還元反応は、電子の授受で区別されるようになりました。例えば、鉄が酸素と結合する(錆びる)とき、鉄は酸素に電子を渡します。鉄は酸化、酸素は還元、つまり電子の授受でみれば酸化還元反応は同時に起きています。 鑑定においては、例えば鉄の酸化反応は、鉄を主体にみます。このため、古来の酸化の解釈でも電子レベルの解釈でも、占星術の鑑定にはあまり影響はないでしょう。 2008年9月7日新規
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