古代エジプト情報
2010年5月26日新規 8月23日更新
占星術の起源に関連した古代エジプト情報をここに少し掲載します。

太陽と心臓
西洋占星術で太陽は心臓を表しますが、太陽と心臓を結びつける概念は新王国時代のエジプトにすでにありました。紀元前10世紀頃のエジプトでは、ミイラの心臓の部位に、太陽神の化身であるケプリの姿をしたお守りを載せていたからです。ケプリとは、タマオシコガネ〔糞(フン)ころがし〕の姿をした神です。タマオシコガネが転がしている糞が太陽に見えたから太陽神を表すようになったと言われています。

ファラオや貴族のミイラを作るとき、内臓は取り出されてカノポス壺に入れられますが、心臓は体内に残されます。身体を良く乾かしてから周囲に樹脂を塗って再び乾かし、包帯で巻いていきます。包帯は幾重にも巻かれますが、その際、胸の周辺にお守りを載せてさらに包帯を巻きつけたミイラがいくつも見つかっています。

渋谷の古代エジプト美術館では今年2010年の11月下旬までいのちをテーマにした展示品を見ることができます。
2010年8月23日

占星術の起源 太陽と黄金の古代エジプト

次の二つの絵は、本書に掲載している王墓の壁画の写しより一部を切り出したものです。左側は方 位の4神で、ホルスの息子達。右側から順番に、イムセティ(人間)、ハピ(ヒヒ)、ドゥアムテフ(ジャッカル)、ケベフセヌフ(はやぶさ)です。この4神は、デカンを司っている神々の一部です。 * ケベフセヌフをケベフセヌエフと書いている本もあります。

右側の絵は、同じ壁画の36のデカンよりデカンの1〜9までを切り取ったものです。第10デカンは少しだけ見えています。一番右側は第1デカンで、ムゥトの頭と手を表しています。ここでは読み方はムゥトとなる文字が使われていますが、天の女神ヌトを表しています。デカンのリストは南の空に現れる星または星のグループで構成されています。1つのデカンは10日間を表します。当時の1週間です。第1デカンはシリウスのヒライアカル・ライジングの後に現れる星で、日の出直前に東の地平線に現れます。明け方に観測されたデカンは、別の季節では夜間、星時計になりました。
 
古代エジプトの文字「ヒエログリフ」は絵のようでもあります。大きな壁画の絵が、実は文字そのものだったということは多々あるようです。ヒエログリフは時々漫画のようにも見えます。日本で流行っているAA(アスキーアート)や掲示板やメールで使われる絵文字にもどこか通じるところがあり、ヒエログリフは親しみのもてる文字だと思います。

2010年5月26日

有効な情報源

Chaos Panic
2008年に古代エジプトとデカンについて調べ始めたときに見つけました。古代エジプトのデカンや星座について、ここまで詳しく触れている日本語のサイトは長らく他にないと思います。Chaos Panicは私には古代エジプトを知る入り口となりました。「エジプトの本棚」、「エジプトの星座」は私の知りたいことを照らし出してくれました。現代、古代エジプト研究は盛んですが、わかっていないことの方が多いと言われています。このサイトに来ると冷静にそれを受け止めることができる気がします。遺跡などの一次資料を自ら直接読んで考える大切さが伝わってきます。

中近東文化センター
センターの2階にある三笠宮記念図書館を利用しました。ここではエジプト関連の洋書と和書だけでなく、メソポタミア、アナトリア考古学関連など各専門書を閲覧できます。博物館は1階にあります。ここの展示品も見ました。

古代エジプト美術館
菊川(きくがわ)コレクションが展示されています。古代エジプトについて理解を深めることができます。私個人は展示品を見て新たに気付いたことがあり、かなり刺激的でした。5月に入ってすぐに出向いたのですが、ここでパワーをもらったようで、私は帰りに突如ウェイト版のタロットカードを購入しました。

2010年5月27日更新

第1デカン

シリウスのヒライアカル・ライジングの後に出てくる星あるいは星のグループを第1デカンと捉えて、地平線付近の星を表示したのが次の図です。使用したソフトウェアはプラシーダス6.0(Placidus 6.0 開発者 Dr.Rumen Kolev)です。この図は、上述の「占星術の起源」の本には表示していません。同書では第4デカンと第5デカンの週の終了時、シリウスのヒライアカル・ライジング、サフ(オリオン座)他を表示しています。



上図では、左がセティ1世の王墓が作られた年(前1290年)のシリウスのヒライアカル・ライジングが起きた後の第1デカンの時間が終了したときの星の配置です。実際には太陽がすでに出ていますから、地上から観測することはできません。
右側は、左図より10日後の夜明け直前の星の配置です。ルクソールからは地平線上(地平高度+5度付近)の星のうち、かなり明るいものが見える状態です。シリウスは地平線よりも上の、ヒライアカル・ラジングのときよりも高い位置に見えます。第1デカンの星がどれなのか現在特定することはできませんが、この図の中にある明るい星だと思われます。

図について。観測点はルクソールです。地平線はルクソールの天頂から90度離れた大円で、天球と地上の境界線にあたります。エジプトの観測点から見た東から南東の地平線付近が図に表示されています。シリウスと太陽が随分離れていることがわかります。
第1デカン神の名前は、ゲブ神です。

***2010年5月28日追記 *** 以下緑色の文字は、占星術の起源 太陽と黄金の古代エジプトp.58からの引用です。

 この古いデカンの仕組みは、実際に恒星を使って暦や時間を読む点ではサイドリアル方式ですが、シリウスを基点に新年とデカンのシステムが始まったため、恒星そのものが暦の目盛りの役割を果たすトロピカル方式でもありました。しかも、太陽が最北端に回帰しているときにシリウスが出現したので、文字通り本物のトロピカル方式だったのです。

古代エジプトのデカンの仕組みは、同書で解説しています。
2010年5月27日新規 5月28日追記

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