スターメディア通信 2004.3.13.第12号 より抜粋。
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 I. ― プロジェクト・ハインドサイト出版物より ≪連載第8回≫ ―
   書名:Liber Astronomiae - books one,two and three with index -
   著者:Bonatus, Guido(1210?-1290?) /別記Guido Bonatti,Gvidonis Bonati
   訳者:Robert Zoller, Robert Hand

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Liber Astronomiaeは1282年過ぎに書かれたようですが、本書は1491年にラテン語で出版されたものを英訳したものです。この本はその後度々写本が作られ出版されてきました。1491年の出版物のErhard Ratdoltの序文を読むと、ボナタス(ボナッティ)はイタリア人です。

タイトルにはBook1,2,3と書かれていますが、目次ではTractate(論文)という言葉を用いて章を分けています。Liber Astronomiaeには全部で10の論文があり、原文は800ページに及びます。

Book1は、占星術を知らない入門者に向けて書かれていますが、天文学や科学を重視した視点で、占星術に関する様々な疑問に答えています。
Book2,3は、ハウスやサインなど占星術の基礎理論について解説されています。

* Book1-3の内容は目次を見ると一目瞭然なので、4月末までにスターメディアの書籍リストに反映させる予定です。それまで少々お時間をください。(目次は予定通り反映済み。2006.7.28.追記)

Book3のロバート・ハンド(以下ロブ)の序文によると、4番目の論文は数ページしかないとのこと。また、5番目の論文はすでに翻訳されている実用的な、あの有名な146の考察(the 146 Considerations before Judgement)であると、 ロブは私たちに嬉しそうに伝えています。この5番目の論文こそ、17世紀にヘンリー・コウリーによって訳され、カルダンの格言と合わせてリリーが編集出版したAnima Astrologiaeです。

6番目の論文(On War 全58ページ 内容:イレクション)は、その後ゾラーによって訳され、独自に出版されました。これは現在ゾラーの学校のテキストの一つになっています。

Book1の翻訳が出版された当時、序文でロブは、Liber Astronomieはトレミー(プトレマイオス)以降ルネッサンス期(14-16世紀)の間で最も重要な文献だと述べています。(*注)

*注 :ロブはその後、ボナタス以外のラテン語の翻訳に傾注しており、ショウナーのネイタルはラテン語の文献でも最も詳しく、かつ興味深いものの一つと評しています。

*** グイド・ボナタス(ボナッティ)について ***
ボナタスは、占星術家であり、政治や戦争の助言者でもありました。
アラビア占星術の影響が強いものの、実践経験などから独自の見解も出していた占星術家のようです。

ボナタスが政治闘争の重要な局面でイレクショナル占星術を使った話は、Anima Astrologiaeのヘンリー・コウリーの序文や、テスターの西洋占星術の歴史などに記載されています。ボナタスが活躍していた当時はギベリン党とゲルフ党が対立していました。この2つの党の対立に絡みギベリン党員のボナタスは占星術を使い政治的なイベントの時期を決定しました。対立していたゲルフ党員のダンテは、未来を詮索する占い師を「地獄編」第20歌118で批判し、そこにボナタスの名前も加えています。

このダンテの地獄編の話は、On Warのゾラーの序文やテスターの本に記載されています。Anima Astrologiaeをお持ちの方には、コウリーの序文にあるコウリーによるボナタスの紹介を読まれることを強くお勧めします。

ボナタス個人の情報は乏しく、出生・死亡日は未だにわかっていません。
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参考文献
書名:西洋占星術の歴史 著者:S.J.Tester 訳者:山本啓二
書名:On War 著者:Guido Bonatti  訳:Robert Zoller
書名:Anima Astrologiae 著者:Guido Bonatus 訳:Henry Coley 編:William Lilly
Bonatusは英語訳出版時の名前です。ラテン名はBonattiで出版されています。


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