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古典占星術では、ハウスには支配星はありません。 例えば、土星は12ハウスを支配する、という人がいますが、なぜ間違いか、です。 今、土星が10ハウス、12ハウスに何らかの天体があるとして、その天体と12ハウスカスプで土星はディグニティを持たない(ディスポジターではない)、としましょう。 それで、土星が12ハウスをどうやって支配するのでしょう。できません。ハウスの支配星ではないからです。 ちなみに土星が12ハウスにある場合は、アクシデンタルな要素として、土星に注意しなければなりません。12ハウスでは、天体はアクシデンタルデビリティです。土星は12ハウスで居心地が良いので、マレフィックな要素に注意して読みます。これはハウスを支配していることとは本質的に意味が異なります。 ハウスに支配星があるとする代表的な間違いをここに2つ書きます。 一つはハウスで天体がジョイになることを、取り違えてハウスの支配星とするものです。例えば、月は第3ハウスでジョイです。月が第3ハウスにある場合、そのハウスの中で特に強い影響力を持ちますが、これは、第3ハウスを支配することとは本質的に意味が異なります。 もう一つは、カルデアンオーダーの順番に天体をハウスに当てはめたものをハウスの支配星とする間違いです。古くから、ハウスにカルデアンオーダーで天体をあてはめた記述はありますが、内容は単に天体を当てはめて考察したものであって、ハウスの支配星ではありません。 デカンの支配星であるフェイスがカルデアンオーダーで並ぶことは知られています。しかしだからといって、同じように天体をハウスに当てはめることで、カルデアンオーダーの順番にハウスは支配されているということにはなりません。サインとハウスの混同と言えば、おひつじからうおまでを1から12ハウスに当てはめたものがありますが、その間違いとよく似ています。 2012年6月11日
この記事は、「ハウスには支配星はない」(2011.7.9.)、「ハウスには支配星はない その2」(2012.1.31.)を1つにまとめ、加筆修正したものです。 |