一日の始まりは二種類ある
古典占星術で使う一日の始まりは二つあります。

一つは深夜0時を基点とするもの、もう一つは日の出を基点とするものです。

両方を知らないと古典占星術を語れません。両方の知識は古い本に併記されているからです。現代私たちが鑑定でホロスコープを作成する際に年月日時とプラネタリーアワーの両方を記載するのと同じです。両方を知らないと、古書を読んでも理解できません。


深夜0時を基点とする方法は、メソポタミア由来です。紀元前のメソポタミアではすでに深夜0時を使って日付の変更をしていました。この方法は西洋社会の暦(カレンダー)の作成に使われ、現代社会でも広く継承されています。中世の占星術の本でプラネタリーアワーに併記して年月日時が記されているものはこのメソポタミア由来の時刻です。

深夜0時を基点としていたメソポタミアではバビロニア占星術など発展しました。メソポタミア一帯では黄道12星座を使った占いが盛んになりました。この知識はヘレニズムにギリシャ占星術に取り込まれました。


もう一つの一日の始まりは、日の出を基点とするものです。占星術で使う一日の始まりが古代エジプト由来と書いている本を実は私は自分で一次資料を読むまで本で読んだことがありません。そういう本を探してもなかったのです。エジプトの知識で書かれていたのはデカンだけです。それが原因で、私はアセンダントの起源を自分で調べるに至りました。ホロスコープのアセンダントは時間帯を特定する情報源です。私が一次資料を直接調べて 占星術の起源 にまとめて公表したのが2010年です。一次資料のメインはセティ一世の王墓の壁画ですが、センムトの墓、第一中間期の木棺の対角線暦なども調べました。


私でさえ一次資料を理解し、古代エジプトの暦と星時計の仕組みがそのまま占星術に取り込まれていることが理解できたのですから、私は、私以外にもおそらく他にも古代エジプトの知識が西洋占星術に取り込まれていることを知っていた人はいると考えています。

ただ、シャンポリオンによりヒエログリフが解読されるまでの長い期間は、この星時計の仕組みを理解するのは現代よりも困難だったろうと思います。


最後に一つ付け加えます。古代、日の出を一日の始まりとしていたのは古代エジプトです。エジプトで星時計が使われた3千年間は、雨がほとんど降らず、どの場所にいても東の地平線の空の観測がたやすい時期でした。別に王宮でないと観測できなかったわけではありません。どこでも可能でした。一方、メソポタミアでは星時計は使われませんでした。天候や観測条件が悪いからです。その酷さはアッシリアの資料でも見ることができます。日の出を基点にする理由が物理的になかったのです。

古代エジプトの知識について詳細を確認されたい方、どうか 占星術の起源 をお読みください。



この記事は最初にスターメディアで掲載し、その後アメーバのブログに掲載しました。
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新規 2017年12月11日


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